本会・全日本仏教会はこの数年間、本年2018年11月開催、「世界仏教徒会議・世界仏教徒青年会議日本大会（WFB・WFBY世界大会）」の準備と共に、2020年開催東京オリンピックをも念頭に置き、日本と日本仏教界の国際化を目的とした活動に邁進して参りました。その積極的活動の結果の一つとして、ティク・ナット・ハン師と僧侶団「プラム・ヴィレッジ」の皆様との間に、有り難くも親密な関係性を築かせていただきました。

　プラム・ヴィレッジの皆様との合同研修は、早くも今回で4回目となります。平成27年5月11日開催されました第1回研修「プラム・ヴィレッジの高僧30名vs日本の青年僧100名対話会」(於・曹洞宗檀信徒会館)の大成功をもとに、平成28年5月9～10日には第2回研修「応用仏教－ブッダの教えを現代に生かすために－」(於・大本山増上寺)、平成29年5月8～10日には第3回研修「日本伝統仏教とプラム・ヴィレッジ僧侶団の相互対話」(於・大本山増上寺)を開催致しました。4回目となる今年は、昨年の2泊3日という濃密なプログラムをそのまま踏襲し、同様に「日本仏教とプラムヴィレッジの相互対話」と銘打った国際交流研修を、上記の世界仏教徒会議日本大会会場となる大本山總持寺にて、世界大会慶讃事業として開催させて頂く運びとなりました。

　現代日本社会とともに迎えるべき、日本仏教界の本来の国際化に際し、国内における今後の布教伝道と仏教文化敷衍の在り方を改めて考えることは、伝統仏教と日本文化の承継者である私たちにとって、私たち自身の存続のためにも必要不可欠なことと言えます。その確信を以て、世界を席巻する「マインドフルネス」をレクチャーのコンセプトにし、超宗派日本仏教研修、グループシェアリングとともに、参加者の深い相互理解を促し、日本仏教とベトナム仏教、双方向のフィードバックをはかることによって、新しい仏教の国際基準を模索して参りたいと思います。今回は特に、海外における主流となる仏教トレーニング「瞑想」に焦点を当て、「坐禅」「阿字観」「ヴィパッサナー瞑想」、そして「マインドフルネス」等各種瞑想法の体験、レクチャーをコミュニケーションの題材にしながら、日本伝統仏教とプラム・ヴィレッジが追求し続ける先進仏教との相互対話を試みます。

　世界仏教者の第一人者として欧米で名前を馳せ、医学界でも大きな注目を浴びる「マインドフルネス」の提唱者ティク・ナット・ハン師と、大乗仏教界最大の勢力を持つ日本伝統仏教の、仏教理論と布教方法についての真剣な対話による相互作用は、今後の世界仏教のあるべき方向性を一つの指針として創出する可能性を持つとともに、私たち日本僧侶の現場における布教実践の大きな参考になると考えます。さらに、この研修会は、国際化する日本社会に呼応し、日本仏教界が将来の仏教者に必要としていく「宗教者としてバランスのとれた国際感覚」を、その深い国際交流によって養うことも出来る機会となります。この貴重な研修プログラムに、是非ともご参加いただけると幸いに存じ上げます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。